「オンライン決済」の言葉から連想される高度なセキュリティや機能や仕組みのイメージから、「小規模ビジネスでは導入できない」と考えている個人事業主もいるかもしれません。いずれにせよ、オンライン決済を事業に導入するにあたっては、導入初期費用や売上発生時の手数料などが小規模事業にも耐えうる水準のサービスがあることが望ましいでしょう。結論からいうと、個人事業主であっても問題なくオンライン決済を導入できます。その背景や導入可能なオンライン決済の種類、関連する諸費用などについて、わかりやすく解説していきます。個人事業主もオンライン決済を導入できる個人事業主の皆さん、オンライン決済サービスを導入する際に「自分でも使えるのかな?」と不安に思ったことはありませんか? 実は、決済代行会社によっては、法人でなければ利用できなかったり、個人事業主向けのサポートが十分でなかったりするケースもあります。そのため、導入を検討する前に、自分のビジネスでも使えるかどうかをしっかりリサーチすることが大切です!特に注意すべきポイントは以下の2つです:①個人事業主が利用可能かどうか利用規約や公式サイトを確認して、個人事業主でも利用可能かどうかをチェックしましょう。一部のサービスでは、登録時に「法人登記」や「法人名義の銀行口座」が必要な場合があります。②登録の手間やサポート体制スムーズに登録できるか、困ったときに頼れるサポートがあるかも重要です。時間も限られているので、使いやすいサービスを選ぶと効率的です。PAY.JPなら個人事業主もOK!PAY.JPは個人事業主の方でもご利用いただけます。オンライン決済をすぐに始めたい方に向けて、シンプルでわかりやすい登録手続きと充実したサポート体制を提供しています。もちろん、法人だけでなく個人事業主でも対応可能です。オンライン決済の導入メリットと必要性オンライン決済の導入は、ビジネスの成長に密接に関連する重要な要素でもあります。上述した支払い処理の迅速化、請求業務の効率化のほか、次のようなメリットも挙げられるためです。幅広い顧客層の獲得:多様な決済手段を提供することで顧客の購買意欲を喚起し、コンバージョン率を向上させる。これは売上の向上にも直結する信頼性の向上:クレジットカード決済など信頼性の高い決済方法を提供することで、顧客の安心感を高める顧客との関係性の維持:オンライン決済は定期的な支払いが必要なビジネスモデルとの相性が良く、物販やサービス業などのサブスクリプション型ビジネスの多くで活用されているなかでも欠かせない視点となるのが、「幅広い顧客層の獲得」です。経済産業省の報告からは、オンライン決済の需要は年々増加していることが読み取れ、今後も成長が見込まれています。これは消費者の購買行動がオンライン化し、現金よりもデジタル決済を優先する傾向が強まっていることとも関連しています。画像引用元:2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました|経済産業省上図の通り、キャッシュレス決済比率は年々右肩上がりで高まっています。2023年の決済比率は39.3%に達し、これは2010年の約3倍の水準です。暦年キャッシュレス決済額(兆円)キャッシュレス決済比率201038.313.2%201140.414.1%201243.715.1%201345.415.3%201450.716.9%201554.918.2%201660.020.0%201764.721.3%201873.524.1%201981.926.8%202085.829.7%202195.032.5%2022111.036.0%2023126.739.3%このデータからもわかるように、オンライン決済の導入はビジネスの必須要素となりつつあり、個人事業主にとってもそのメリットは大きいです。個人事業主が導入できるオンライン決済の種類個人事業主が選択できるオンライン決済の種類は豊富です。ここでは主な決済方法それぞれの特徴を簡単にまとめ、事業の種類や顧客層に合わせてどのような選択肢が適しているのかを考えていきます。種類特徴クレジットカード決済ほとんどの顧客が使えて幅広い層に対応できる電子マネー決済交通系ICカードやモバイル決済が該当QRコード決済スマートフォンを使った決済方式として普及しているキャリア決済スマートフォン利用者が簡単に支払いをできる手段コンビニ決済即時払いではなく、後払い感覚で利用できる銀行決済伝統的な決済方法後払い決済商品が届いた後に支払いができるまず、圧倒的なシェアを誇るクレジットカード決済は対応必須として、それぞれのビジネスモデルに応じた決済方法の使い分けも重要になります。たとえば小額決済が多い店舗ビジネスでは、QRコード決済や電子マネー決済も効果的です。クレジットカード決済クレジットカード決済は、もっとも広く利用されているオンライン決済方法であり、「オンライン決済=クレジットカード決済」といっても過言ではないほどに圧倒的なシェアを誇ります。また、個人事業主がクレジットカード決済を導入することで、特に高額な商品やサービスの取引における顧客の支払いハードルを下げる効果も期待できます。分割払いやリボ払いなどのオプションもあるためです。【クレジットカード決済のメリット】信頼性の向上:主要なクレジットカードブランドに対応することで、消費者に安心感を提供する決済スピードの速さ:決済が即時完了し、キャッシュフローの改善が見込まれるグローバルな対応力:海外顧客からの支払いも受け入れやすく、ビジネスの国際化にも貢献するただし、クレジットカード決済に限った話ではありませんが、キャッシュレス決済には決済手数料が発生します。クレジットカード決済では、取引額に対して2~5%程度の決済手数料が一般的です。これは利益率の圧迫にも関連するため、クレジットカード決済は対応必須ではありつつも、特に利益率の低いビジネスでは慎重に検討する必要があります。電子マネー決済電子マネー決済は、交通系ICカードやスマートフォンのアプリを通じて行われるキャッシュレス決済です。SuicaやQUICPayなどがわかりやすい例でしょう。特に小額決済に適しており、コンビニエンスストアでの買い物や交通機関の利用といった日常的な取引に使われる機会が多いです。ターゲット顧客層が若い世代であるビジネスとの相性も良好といえます。【電子マネー決済のメリット】利便性の高さ:顧客がカードやスマートフォンをかざすだけで決済が完了するため、レジの回転が速くなる利用者の多さ:公共交通機関や小売店など、日常的に利用される機会が多い現金を扱わない:現金管理が不要になるため、事業者側の負担が軽減されるメリットの一方で、電子マネー決済の導入には、対応機器やシステムの整備が必要となることから、初期費用が発生します。とはいえ、迅速な会計処理や顧客満足度の向上を考えると、ビジネスモデルによっては導入する価値は十分でしょう。QRコード決済QRコード決済は、スマートフォンで表示したQRコードを読み取り、専用アプリを通じて支払いを完了させるシンプルな仕組みです。PayPayや楽天Payなどが代表例で、事業主側も簡単に導入できる手軽さが特徴になります。【QRコード決済のメリット】導入コストが低い:専用機器が不要で、他の決済手段に比べて導入が簡単キャンペーンの実施が容易:各決済プラットフォームが実施するキャッシュバックやポイント還元などのキャンペーンを活用でき、顧客の利用促進につながるただし、QRコード決済はスマートフォンユーザーが対象となるため、顧客の年齢層やデジタルリテラシーを考慮して導入を検討する必要があります。キャリア決済キャリア決済は、携帯電話の通信料金と商品やサービスの代金を合算して支払うことができる決済方法です。スマートフォンのみで簡単にオンラインで決済できるため、特に未成年者などクレジットカードを持てない若年層のユーザーに人気があります。また、サブスクリプションサービスやアプリ内課金など、継続的な利用が想定されるビジネスにも適しています。【キャリア決済のメリット】支払いの手軽さ:クレジットカードの登録不要で、携帯料金と一緒に支払えるため、決済の心理的ハードルが低い継続的な収益確保:サブスクリプションモデルのビジネスとの相性が良い多くの顧客に対応:携帯電話を持っていれば誰でも利用可能で、クレジットカードを持たない層も取り込めるメリットの一方で、キャリア決済には、他の決済方法と比較して手数料がやや高い傾向があります。導入前にはコスト面の検討が必要です。コンビニ決済コンビニ決済は、顧客がオンラインで購入した商品やサービスの代金を、全国のコンビニエンスストアで支払う仕組みです。クレジットカードを使いたくない顧客や、後払いを希望するユーザーに特に人気がある決済方法です。【コンビニ決済のメリット】支払いの自由度:クレジットカードや銀行口座を持っていない顧客でも現金で支払い可能24時間対応:全国のコンビニエンスストアで24時間いつでも支払いができる後払いの安心感:商品が到着してから支払うという形式は、初めての取引でも顧客に安心感を与えるコンビニ決済は、特にECサイトを運営する個人事業主にとって重要な選択肢となりますが、支払いまでにタイムラグが生じるため、迅速な出荷やサービス提供を行うビジネスには向いていないケースもあります。銀行決済銀行決済は、顧客が銀行口座から直接支払いを行う方法です。また、指定日に口座から引き落としされる方法も銀行決済に含まれます。特に高額商品や、信頼性が重要視される取引において利用されることが多く、法人顧客や慎重な消費者に選ばれやすい決済手段です。個人事業主にとっても、ビジネスの信用度を高めたい場合などには適した選択肢となります。【銀行決済のメリット】信頼性の高さ:銀行を介しての取引は顧客に安心感を与え、ビジネスの信用力を高める高額決済への対応:クレジットカードの上限額に制約されることなく、大口取引に対応できる手数料の低さ:他の決済手段に比べて手数料が低く抑えられることが多いただし、銀行決済は決済完了までに時間がかかることがあります。特にリアルタイムでの支払いが求められるシーンでは、導入のメリットとデメリットを慎重に比較する必要があります。後払い決済後払い決済は、商品やサービスを受け取った後に代金を支払うことができる決済方法です。注文・購入時には支払いが発生せず、後日届く払込票もしくは払込メールを受け取った後に代金を支払います。「NP後払い」などのサービスが知られており、主にECサイトなど通販事業で導入されています。【後払い決済のメリット】顧客の安心感:商品を確認してから支払いができるため、初回購入者や不安を感じる顧客に魅力的購買意欲の向上:支払いに対する心理的ハードルが低く、購入を促進しやすい高いコンバージョン率:初めての顧客に対して、購入の決断を促進する効果が高いただし事業者にとっては、顧客は商品を受け取った後に支払いを行うため、回収リスクが伴います。決済代行会社と契約することでリスクを軽減する方法もありますが、手数料や手続きに対するコストも考慮しなくてはいけません。個人事業主が導入できるオンライン決済の費用オンライン決済の導入に際しては、初期費用や月額費用、さらに決済ごとの手数料が発生します。導入を検討する個人事業主は、これらの費用構造を正しく理解しなくてはいけません。費用の構成は主に以下の通りです。初期費用:システムの導入や設定にかかる費用。無料のサービスもあるが、必要に応じてカスタマイズが求められる場合は別途費用が発生することもある月額費用:定額制の決済サービスやサブスクリプション型のオンライン決済プラットフォームでは、月額利用料がかかる場合がある決済手数料:取引ごとにかかる手数料。1回あたりの取引金額に対して2~5%程度が一般的だが、サービスによって異なるなかでも注視すべき項目は決済手数料です。顧客数が増えるほど手数料の違いは大きな差になってくるため、個人事業主がオンライン決済を導入する際は、決済手数料を必ず確認しましょう。個人事業主が導入できるオンライン決済サービスの選び方オンライン決済サービスを選ぶ際には、事業の特性やターゲットとなる顧客層に応じた基準からの判断が求められます。次のポイントを基準に、最適な決済サービスを選びましょう。決済手数料・決済ごとの手数料はビジネスの利益率に直結する・安い手数料のサービスは利益率の高い取引に適しているが、サポートや機能の充実度も考慮する必要がある対応している決済方法・クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など、顧客が利用したい決済方法に対応しているかどうかを確認する・顧客のニーズに応じた決済手段を提供することで、購買機会を逃さないようにする対応している課金方法・定期購読型のビジネスや、単発決済が多いビジネスでは、対応する課金方法が異なる・自社のビジネスモデルに最適な課金オプションがあるかを確認する請求書管理などの付帯機能・請求書発行や顧客管理などの付帯機能を提供するサービスは、業務効率を向上させる・請求書発行の自動化機能などは、個人事業主の負担を軽減するここで重要なポイントは、やはり決済手数料です。複数の決済方法への対応が重要となる局面もありますが、「クレジットカード決済のみへの対応で十分」と割り切ることも有力な選択肢となりえるためです。決済手数料オンライン決済サービスを選ぶ際、手数料は事業の利益率に直結する最重要項目です。ただし、手数料の安さだけで判断することにも一定のリスクがあります。低手数料のサービスを選べば利益率を保てますが、一方でサポートの質や対応機能に差が出ることもあるためです。また、クレジットカード決済では○%、コンビニ決済では◎%といった要領で決済方法によっても手数料は異なるため、メインとなる決済手段が何になるのかも想定しておきましょう。【決済手数料から選ぶポイント】手数料の安さと機能のバランス:安い手数料のサービスでは、取引ごとのコストは軽減するが、機能やサポートの質が劣る場合があるビジネス規模に応じた選択:高額取引が多い場合は、多少手数料が高くてもサポートが充実したサービスを選ぶことが有益となることもある対応している決済方法ターゲット顧客層に応じた決済手段の用意は、購入率とも密接に関連する要素であるため、対応している決済方法の種類も重要な判断基準です。たとえば若年層に向けたビジネスでは、QRコード決済やデビットカードへの対応があると望ましいです。なお、NIRA総合研究開発機構の調査によると、年齢別の支払い方法は次のようになっています。引用:NIRA総合研究開発機構この調査からは、若年層がメインターゲットになる場合は、QRコード決済のニーズに応える重要性がわかります。一方、全年齢においてクレジットカード決済は必須であることも示唆されています。【決済方法から選ぶポイント】顧客層に合わせる: 顧客の年齢や支払い習慣に合った決済手段を提供し、購買体験を向上させる複数の決済手段の導入: 1つの決済方法に限定せず、クレジットカード、QRコード、銀行振込など、複数の方法の導入も検討する対応している課金方法オンライン決済サービスは、対応している課金方法、つまり単発決済や事前決済など「課金タイミング」も異なります。ビジネスモデルに応じて、単発決済、定期課金、サブスクリプションなどの課金形態を選ぶことが重要です。特に、サブスクリプション型のビジネスでは、定期課金フローをスムーズに処理できるサービスを選ぶ必要があります。また、個人経営の飲食店や小売店ならテイクアウトのための事前決済に対応しているサービスを選ぶとよいでしょう。【課金方法から選ぶポイント】単発決済と定期課金の違い: 一度きりの購入が多いビジネスでは単発決済が主流だが、継続的なサービスを提供するビジネスでは定期課金が効果的課金方法の柔軟性: 顧客のニーズに応じて、月額課金や年額課金、分割払いなど、柔軟な課金方法に対応するサービスが好まれる自動課金機能の有無: 定期購読やサブスクリプションモデルでは、自動課金機能の有無が重要請求書管理などの付帯機能オンライン決済サービスには、単なる決済処理だけでなく、請求書発行や顧客管理などの付帯機能が含まれている場合があります。これらの機能を活用することで、業務の効率化が図れます。特に、請求書発行が自動化されているサービスは、個人事業主の手間を大幅に減らし、経理業務の負担を軽減します。【付帯機能から選ぶポイント】請求書管理機能の有無: 自動で請求書を作成・送付できる機能があると業務効率が向上する顧客管理機能: 顧客ごとの取引履歴や支払い状況を一元管理できる機能があると、リピーター対応や支払い遅延の管理が容易になるレポート機能: 売上データや取引履歴をレポートとして簡単に出力できる機能も、ビジネス運営において役立つまとめオンライン決済の導入は、個人事業主のビジネスを牽引する強力な手段です。複数のクレジットカードブランドへの対応など多様な決済手段を提供することで、顧客のニーズに応え、購入の機会を最大化できます。また、手数料や対応する決済方法、付帯機能など、自社のビジネスモデルに合った決済サービスを選ぶことで、効率的な運営が可能になります。導入の際には、費用対効果やターゲット顧客層のニーズに応じて最適な決済手段を選び、長期的なビジネス成長を見据えた運用を心がけることが重要です。オンライン決済は単なる支払い手段を超えて、事業を効率化し、顧客体験を向上させる要素でもあります。最適な決済手段を導入し、今後のビジネス拡大に役立てていきましょう。